2013年10月20日日曜日

分析11



この調子で振り込んで行けば良いと思います。
特にチェックしてほしいポイントは、前脚が閉じた状態で着地になると、フォローで前脚が後方に引けてしまうので、そうなった場合は、どこか、それ以前に問題が有ると言う事です。

いずれにしても、山下さんの場合は、構えでバットを動かし過ぎて、腕を使っている時は良く有りません。バットの動きは大人しめで、身体の中心からの力が使えている時の方が振れています。

林さんが、「身体の芯からの力を末端部に伝達する身体の使い方が出来ているのに対して、身体の芯が決まっていない状態」なのに対して、山下さんは「身体の芯は決まっているが、身体の表面的な筋肉の力に頼っている状態」です。この違いが解れば、取り組み方もおのずと解って来ると思います。

フォーム的に気になるのは、ヘッドがさがりやすい傾向にある事です。練習方法としてはトップバランスのマスコットバットを(構えの時間を短くして)振った後に、軽いバットでショートストロークスイングを繰り返すなどが有ります。

また、揺らぎから打ちに行く間について若干の理論変更が有りますが、それは以下の通りです。(林さんの記事にも書いていますが再掲しておきます。)

手を止める事を意識する必要はありません。この点は若干の理論変更です。身体の動きを止めても、完全に止めると一部の筋肉に負担が集中するため、無意識で、あちこちの筋肉に(体重を支える)役割が転移する事によって微妙な揺れ(無意識の揺れ)が起きるので、それを受けてバットも微妙に動きます。ですから無理に止めようとすると不自然になります。前脚の足踏みを止めた後、最後の瞬間の話です。そこでは「止まるのでも無く、揺らぐのでも無い。ただ単に揺らぐのを止める。それでも身体が勝手に微妙に揺れている」この感じを掴んでください。

今回は以上です。


2013年10月11日金曜日

分析010

次回の動画投稿は10月18日(金)前後を目安にお願いします。最終期限は10月25日(金)です。


まず、冒頭のソフトボールバットでのスイングが、硬式木製で出来れば、かなりのものでしょう。その意味で、今考えるべき事はパワーです。ただ、パワーにも二種類有り、内あらのパワーと外からのパワーが有ります。外からのパワーは重いバットを振れば付きますが、それなりに弊害も有ります。そこで今重視してほしいのは内からのパワーです。

外からのパワー

長所 負荷を挙げれば、際限なく強化出来る
短所 弊害が大きい

内からのパワー

長所 動作を良くする事につながるし、弊害が無い
短所 今有る筋力の中で、勝負せざるを得ない


つまり、ハムストリングスや腸腰筋の力を使えるようにする事が「内からのパワー」の向上につながります。そうしたストレッチとトレーニングはもちろん、

1)腕脱力スイング(高重心でバット立てる)
2)股を割ってドッシリした構えからのスイング

の二種類を重視してください。最初はキツいだけかも知れませんが、身体が馴染んで来ると、自分でも驚くようなパワーが出せるのが「内からのパワー」の長所です。

その他、もう一点は、素振りの時に、いわゆる「ヘッドが下がってバットが下から遠回りに出ているスイング」になっている事です。これについても改善の手だてを立てて行く必要が有ります。

一つはショートストロークスイングをしていく事ですが、もう一つは、より身体の芯からの力を使えるようになり、連鎖的に内側の筋肉から稼働させて、ヘッドの抜けを良くする必要が有ります。この二点が出来るようになるとスイング軌道も変わって来るでしょう。
腕が稼働するのが早い(タイミング的に早い)と、腰の回転の前にトップハンドの振り下ろしが先行するのでヘッドが下がるのでしょう。

1)ショートストロークスイングの上達
2)身体の芯からの力を使えるようにする

この2点がポイントになります。もちろん、スイング軌道は初期の頃に比べるとだいぶ改善されてきましたが、まだ以前の状況を引きずっている状態です。

今回は以上です。


2013年10月2日水曜日

分析009

次回の動画投稿は10月9日(水)前後を目安にお願いします。最終期限は10月16日(水)です。



今回はかなり良いと思います。構えの作り方を変えた事で、上半身の緊張が抜け、始動時の力が格段に強くなりました。つまり、こうした力が、これまでは封印されていたという事です。そして、まだまだ封印されている部分は有ると思います。

スイングでの上半身の力は、バットの負荷によって引き出される部分も有る(バットの重さで末端が遅れる事で、筋肉が引き伸ばされたり、ヘッドの重さで腕がねじられる事で筋肉が引き伸ばされたりする)のですが、始動時の下半身の力について言えば、バットの負荷がゼロの状態で最大限に発揮されるはずです。

その意味で言うと、究極的な目標はそこにあるわけです。構えた時の負荷はゼロで、スイングが始まれば、バットの負荷が筋肉の力を引き出すための触媒になる。。そういう状態になれば最高ですが、それが難しいところが、トップ型の構えの難点でもあるわけです。それだけに逆にそこが重要になると言う事です。(では構えの力を付けるトレーニングを徹底すれば良いのかというと、やりすぎると、それには弊害も有るので、そこもまた難しいですが。)

例えば、この動画でアンドレ•ドーソンがこれだけのスイングスピードで振れているのも、バットを立てて構えているからです。この打ち方の場合、ハマればすごいですが、再現性とか安定性はトップ型の方が高いはずです。昔の打者は、そういう打者が多いので、今よりもバットの出は遅いですが、トップスピードでのヘッドの走りは速いです。

このドーソンのスイング等は、まさに「構えた時の負荷はゼロで、スイングが始まれば、バットの負荷が筋肉の力を引き出すための触媒になる」の状態です。


ロベルト•クレメンテもパンチャータイプですが、バットを立てて構えているので、ヘッドの出は遅いものの、トップスピードでのスイングスピードが速いタイプです。そうした意味での「スイングスピード」に関しては、今の打者よりも速い昔の打者は数多くいると思います。




※)現役選手でクレメンテに近いメカニズムの打者(ダヤン•ビシエド)トップ型で構えているぶん、トップからインパクトが速いので、そのぶんだけフォームの印象が異なる。構えからトップに至る動きが小さい分、重心移動(ステップ幅)も小さくなる。


一方、ホルヘ•カントゥ等は、トップスピードでのヘッドの走りが速いというより、トップからインパクトが速い、典型的な現代流スイングだと言えるでしょう。余談ながら打撃フォームの進化論的に言うと、バットを立てて構えて、重いバットを使い、トップスピードをマックスにする時代から、バットをトップに構えて軽いバットを使い、ヘッドの出を速くする時代にシフトしているわけです。


もちろん、理想は、(ヘッドの出もトップスピードも)どちらも速くして行きたいのですが、今回、構えを作る流れを変えた事で、封印されていた力が出た事からも解るように、まだまだ、いろいろな方面から、このテーマをつめて行けば、眠っている資源を有効に活用する事が出来るはずです。

なお、構えを作る手順としては、下図のような順序で行いますが、最初の段階で、手を高い位置に置かない事が重要です。手を高い位置に置くと、構えが出来た時にもっと高くなるからです。

なお、基本的に(1)〜(2)にかけては腸腰筋の伸張反射による股関節屈曲を利用し、(2)〜(3)にかけては、揺らぎを利用しますが、その境界線は曖昧でオーバーラップしていると考えてください。(まず、屈曲、次に揺らぎというように、キッパリ分けない)

なお、捻りと股関節の割れは同時進行で(1)〜(3)にかけて、じょじょに深まります。こうした動きの感覚、構えの作り方は「揺らぎ構え作り体操」で練習して憶えてください。揺らぎ構え作り体操をする前に腰を反ってから構えを作って行くというやり方です。(ただ、基本的に揺らぎ構え作り体操は、その性質上、揺らぎを重視しますが、山下さんの場合、揺らぎによるバットの円運動で腕が緊張している傾向が有るので、基本的には揺らぎに依存する度合いを減らす方向で工夫した方が良いです。)

こうした事を一つずつ詰めて行かないと難しい打法(トップ型)だと言う事は、まぁ仕方の無い所でしょう。そのぶん、ハマった時の爽快感が強いという事です。

なお、最近のフォームで気になるのは、良く言えば始動時の力が強くなり、良い意味での「始動してからバットが出るまでの間」が作れてきたのですが、「悪い意味での間」も出来てきている点です。以前に紹介したセシル•フィルダーの動画にも似ているのですが。。

結論から言うと、始動した後、少し後ろに押し戻されているのだと思います。そのぶん、不必要に「始動してからバットが出るまでの間」が長くなり、そのぶん早めに始動しなければならない状態になっているのだと思います。

また、そうなると、スイング的にヘッドが遅れてボトムハンドで引く形になりやすく、実際、そういう場合は、ヘッドの抜けは良いもののの、もう一つ押し込めていない感じが目立ちます。というか、引きながら押してる格好になっており、押す力がボトムハンドの引きによって逃げてしまっている感じがします。(ボトムハンド側で引かなければ、そこに力がぶつかりあってロスが無い)

これは、バランス的に構えで前脚股関節が割れ過ぎているため、前脚の力が効きすぎて、始動後に後ろに押し戻されているのだと思います。この辺の改善は、ちょうど、前回、林さんに行いました。

こうした意味で、最近のスイングで悪い状態になっている時は、始動してからニュゥ〜っと時間をかけてステップする感じになり、ヘッドが遅れ気味に出てきて前でボールを捉えているものの、あまり押し込めていないというスイングになっています。

ただ、ある意味、そうした感じは今までの山下さんには見られないというか、むしろ求めて来た状態に近いものでもあるため、全て悪い意味ばかりではありません。やろうとしている事が出来るようになってきたものの、微妙に正解との間にズレが有るという状態です。

今回は以上です。