2013年10月2日水曜日

分析009

次回の動画投稿は10月9日(水)前後を目安にお願いします。最終期限は10月16日(水)です。



今回はかなり良いと思います。構えの作り方を変えた事で、上半身の緊張が抜け、始動時の力が格段に強くなりました。つまり、こうした力が、これまでは封印されていたという事です。そして、まだまだ封印されている部分は有ると思います。

スイングでの上半身の力は、バットの負荷によって引き出される部分も有る(バットの重さで末端が遅れる事で、筋肉が引き伸ばされたり、ヘッドの重さで腕がねじられる事で筋肉が引き伸ばされたりする)のですが、始動時の下半身の力について言えば、バットの負荷がゼロの状態で最大限に発揮されるはずです。

その意味で言うと、究極的な目標はそこにあるわけです。構えた時の負荷はゼロで、スイングが始まれば、バットの負荷が筋肉の力を引き出すための触媒になる。。そういう状態になれば最高ですが、それが難しいところが、トップ型の構えの難点でもあるわけです。それだけに逆にそこが重要になると言う事です。(では構えの力を付けるトレーニングを徹底すれば良いのかというと、やりすぎると、それには弊害も有るので、そこもまた難しいですが。)

例えば、この動画でアンドレ•ドーソンがこれだけのスイングスピードで振れているのも、バットを立てて構えているからです。この打ち方の場合、ハマればすごいですが、再現性とか安定性はトップ型の方が高いはずです。昔の打者は、そういう打者が多いので、今よりもバットの出は遅いですが、トップスピードでのヘッドの走りは速いです。

このドーソンのスイング等は、まさに「構えた時の負荷はゼロで、スイングが始まれば、バットの負荷が筋肉の力を引き出すための触媒になる」の状態です。


ロベルト•クレメンテもパンチャータイプですが、バットを立てて構えているので、ヘッドの出は遅いものの、トップスピードでのスイングスピードが速いタイプです。そうした意味での「スイングスピード」に関しては、今の打者よりも速い昔の打者は数多くいると思います。




※)現役選手でクレメンテに近いメカニズムの打者(ダヤン•ビシエド)トップ型で構えているぶん、トップからインパクトが速いので、そのぶんだけフォームの印象が異なる。構えからトップに至る動きが小さい分、重心移動(ステップ幅)も小さくなる。


一方、ホルヘ•カントゥ等は、トップスピードでのヘッドの走りが速いというより、トップからインパクトが速い、典型的な現代流スイングだと言えるでしょう。余談ながら打撃フォームの進化論的に言うと、バットを立てて構えて、重いバットを使い、トップスピードをマックスにする時代から、バットをトップに構えて軽いバットを使い、ヘッドの出を速くする時代にシフトしているわけです。


もちろん、理想は、(ヘッドの出もトップスピードも)どちらも速くして行きたいのですが、今回、構えを作る流れを変えた事で、封印されていた力が出た事からも解るように、まだまだ、いろいろな方面から、このテーマをつめて行けば、眠っている資源を有効に活用する事が出来るはずです。

なお、構えを作る手順としては、下図のような順序で行いますが、最初の段階で、手を高い位置に置かない事が重要です。手を高い位置に置くと、構えが出来た時にもっと高くなるからです。

なお、基本的に(1)〜(2)にかけては腸腰筋の伸張反射による股関節屈曲を利用し、(2)〜(3)にかけては、揺らぎを利用しますが、その境界線は曖昧でオーバーラップしていると考えてください。(まず、屈曲、次に揺らぎというように、キッパリ分けない)

なお、捻りと股関節の割れは同時進行で(1)〜(3)にかけて、じょじょに深まります。こうした動きの感覚、構えの作り方は「揺らぎ構え作り体操」で練習して憶えてください。揺らぎ構え作り体操をする前に腰を反ってから構えを作って行くというやり方です。(ただ、基本的に揺らぎ構え作り体操は、その性質上、揺らぎを重視しますが、山下さんの場合、揺らぎによるバットの円運動で腕が緊張している傾向が有るので、基本的には揺らぎに依存する度合いを減らす方向で工夫した方が良いです。)

こうした事を一つずつ詰めて行かないと難しい打法(トップ型)だと言う事は、まぁ仕方の無い所でしょう。そのぶん、ハマった時の爽快感が強いという事です。

なお、最近のフォームで気になるのは、良く言えば始動時の力が強くなり、良い意味での「始動してからバットが出るまでの間」が作れてきたのですが、「悪い意味での間」も出来てきている点です。以前に紹介したセシル•フィルダーの動画にも似ているのですが。。

結論から言うと、始動した後、少し後ろに押し戻されているのだと思います。そのぶん、不必要に「始動してからバットが出るまでの間」が長くなり、そのぶん早めに始動しなければならない状態になっているのだと思います。

また、そうなると、スイング的にヘッドが遅れてボトムハンドで引く形になりやすく、実際、そういう場合は、ヘッドの抜けは良いもののの、もう一つ押し込めていない感じが目立ちます。というか、引きながら押してる格好になっており、押す力がボトムハンドの引きによって逃げてしまっている感じがします。(ボトムハンド側で引かなければ、そこに力がぶつかりあってロスが無い)

これは、バランス的に構えで前脚股関節が割れ過ぎているため、前脚の力が効きすぎて、始動後に後ろに押し戻されているのだと思います。この辺の改善は、ちょうど、前回、林さんに行いました。

こうした意味で、最近のスイングで悪い状態になっている時は、始動してからニュゥ〜っと時間をかけてステップする感じになり、ヘッドが遅れ気味に出てきて前でボールを捉えているものの、あまり押し込めていないというスイングになっています。

ただ、ある意味、そうした感じは今までの山下さんには見られないというか、むしろ求めて来た状態に近いものでもあるため、全て悪い意味ばかりではありません。やろうとしている事が出来るようになってきたものの、微妙に正解との間にズレが有るという状態です。

今回は以上です。

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