2013年9月19日木曜日

分析006

次回の動画投稿は9月26日(木)前後を目安にお願いします。最終期限は10月3日(木)です。




まず、素振りについては、始動時の下半身の力が強く出ているのは良い点です。これについては、この調子で、今回の感じがスタンダードとなるように継続していって下さい。

一方、素振り、打撃練習ともに、やや全体的に筋肉が上手く使えていないように見えます。つまり、上手くヘッドが抜けてくれない状態で、息が詰まったような状態でのスイングになっている事です。この原因は、やはり捻りの無さによるものでしょう。特に下半身の捻りが無く、両脚がほとんど同じ形になっている点です。

 もう一度、この図を良く見て下さい。

両脚の股関節が割れた上で、前脚の膝が内、後ろ脚の膝が外に入った状態です。この状態が作れず、ガニ股になってしまうと(ジェフ・バグウェルのように膝を深く曲げない限り)内転筋を始めとして、全身の筋肉が緊張しやすくなります。基本的に、連続写真の角度から見て左右対称の構えを作り、スタンスを広く取ると、非常に筋肉が緊張した構えになってしまいます。

また、もっと根本的な話をすると、今の構えでは全身が一つの筋肉の塊になってしまっている状態なのです。これをもっとほぐして、全身をバラバラ(高岡英夫風に言うとパランパラン)にして行かなければなりません。さらに言うと、ただバラバラにするだけでは無く、それぞれのパーツに正しい方向性を持たせた上でバラバラにしていく必要があるということです。これは時間のかかる作業ですが、特に山下さんにとっては非常に重要な作業です。

ではまず、その身体を分割して使うと言う事の基礎から始めましょう。

例えば、まったく捻らないとどうなるかと言うと、アイススケート上の上で股割きになる例で説明した事が有りますが、下図のように両脚が体重の重みで開こうとするので内転筋が緊張します。

こうなると、上半身が沈むのを防ごうとしてか、背筋まで緊張してきます。

ですから、捻らないで左右対称の構えを作ると、全身が緊張して一つの肉の塊のようになってしまうわけです。今、この状態です。

そこでまず、捻って後ろ脚股関節を割るということのメカニズムを理解してください。また、それが出来るようになってください。下図のように、捻ると後ろ脚に対して反りが出来る事になるので、つまり後ろ脚に対して骨盤が前傾するから、後ろ脚の股関節が割れます。

この時に出来る図のオレンジのラインが、下図の脊柱の彎曲、そして捻り方にも繋がるわけです。

この感覚を割れ絞り体操などで掴んでください。これが出来ると、体重を下図のラインに流す事が出来ます。(もちろん、この時、前足の拇指球に体重をかけてはいけません。)

このラインに体重を流せるようになると、アイススケートで股割きのような体重の支え方とは全く違って来ます。

では、こうした構えを作って行くにはどうやって練習すれば良いのかと言うと、それは前脚側のラインを作る感覚と、捻って後ろ脚を割る感覚を分けて練習する事です。

1)まず、前提として割れ絞り体操や割れ絞りパンチ、巻き戻し連続素振りなどで、捻って後ろ脚股関節を割る身体の動きを身につけましょう。

2)次に、捻って後ろ脚の股関節を割った構えから打つ(振る)練習をします。この時、捻りを強調して後ろ脚股関節の割りを強調します。そして後ろ脚で地面を捉えている感覚を掴んでください。また、重要な点として、後ろ脚については「体重を乗せるのでは無く、割る」ということです。乗せると膝が潰れて大腿四頭筋が緊張します。この状態と、割って地面を捉えている(ハムストリングスが効いている)感覚は全く別です。ひとまず、置きティーでも素振りでも良いので、とにかく捻りを強調して、この感覚をつかみましょう。

3)そして、次に、タスキラインから前足の接地点に至るラインで体重を受ける感覚を掴みます。これについても捻りを強調する必要がありますが、やや重心を高く構えた方が感覚が掴みやすくなります。グリエルくらいのイメージで良いでしょう。もちろん、前足は拇指球に荷重せず、アウトエッジ荷重が重要になります。

この行程(1)〜(3)までを繰り返し、まずは、上記の一連の図のような感覚を掴みましょう。そして、そうした身体の使い方が出来るように、ストレッチや巻き戻し連続素振りなどで身体をほぐして行く事も大切です。

ポイントとしては「捻って後ろ脚股関節を割り、後ろ脚で地面を捉える感覚」と「捻って、タスキラインから前足接地点に至るラインで体重を受ける感覚」の2つを身につけることです。これが出来るだけで、構えが楽になります。

どうも、まだ、綺麗な構えで打てる段階では無いようです。これは林さんの所でも書いた事ですが、捻りを強調したり、スクワットダウンを強調したりしながら、筋肉を名一杯使って鍛えると同時に身体をほぐして行く必要が有ります。今の時点で、完成された形を目指さない事が大切です。まず、形は悪くても良いので、一番躍動感の有るスイングが出来る状態。自分が気持ち良く振れる状態。これをもう一度、初心に帰って作り直してください。その結果、多少フォームに問題が有っても、その方がまだ良いです。今は少し、纏まったフォームで打とうとし過ぎていますね。見ていて、身体の力を使い切っている感じがしないです。そんなに綺麗に打とうとしなくて良いです。もっと無茶振りに見えるくらい、振って行かなければ、この先が見えて来ません。身体の力を使い切っていない状態で、感触が良かった悪かったと一喜一憂しても仕方が無いということです。

いずれにしても、もっとクラウチングを強調したり、捻りを強調したり、スクワットダウンを強調したりと、身体を名一杯使って振る練習をしていかないといけない状態です。

例えば、この選手は打席でストレッチしていますが、身体を名一杯使って振れています。タイプ的にも、山下さんの場合は打率云々以前に、このくらい振って行かないと相手から見て怖さが無いと思います。まだ今から高打率タイプを目指すよりは、キューバの打者のように振って行くタイプを目指す方が、出来る確立は高いでしょう。

それと、もう一点、投手方向から見た構えが、ここ最近ずっと縮こまったような感じになっています。これだと投手から見て小さく見えてしまうと思います。良い構えとはやはり大きく見えるものです。

まず、脊柱の弯曲が普通に立っている時よりも効いていないのは、やはり構えを作る技術に改善の余地があると言う事でしょう。膝も少し曲がり過ぎだと思います。

ただ、スクワットダウンしてスイングする練習は、これは非常に大切です。それを見逃しがちな人が多いですが、オートマチックステップに取り組む以上、そこは非常に重視してほしいポイントです。スクワットダウンして振る中で股関節の屈曲のさせ方を憶えたり、ハムストリングスが鍛えられたりして、そうして初めて、適切な構えの中で、充分にハムストリングスが効いた状態を作る事が出来るからです。ただ、最終的に求めたい構えは、もう少し重心が高いものです。だいたい、下の写真くらいです。

ただ、今の段階で、山下さんくらい重心を下げて打つ事、それ自体は良いのです。ただ、下げ方が良く無いと言う事です。ここで重視してほしいのは、腸腰筋をストレッチした後に、股関節で身体を折り曲げる練習です。まずは、この動きの中で、股関節で身体を折って、胸椎が後弯する感じを掴んで下さい。この時、骨盤の前傾によりハムストリングスが伸びるので、その張力で膝が緩みます。

腰を反ってから構えを作る時は「背中の丸まり」「首の角度」「踵体重(踵寄りの3点支持)」の3点を意識します。膝は、骨盤が前傾する時にハムストリングスの張力が増して、勝手に曲がるので、本人感覚では緩める感じでOKです。
これらが出来ると、構えがもっとゆったりと大きく見えて来るはずなのです。例えば、下の写真の打者は、その辺が割と上手く出来ています。だから、身体のラインがなめらかに見えて、ゴツゴツしていないのです。腹筋が締まって見えるのは、骨盤が前傾して腹筋を引っ張るからでしょう。股関節で身体を折り曲げる事が出来ているので、背中が楽な感じです。

この動画の1.41からがバルボ二。

とりあえず、今、どのくらいの重心の高さで打つかは別として、腰を反って腸腰筋をストレッチした後、股関節で身体を折り曲げて胸椎の後弯を形成すると言うテーマに一度重点的に取り組んでみてください。

つまり下図に表される身体の使い方です。

そして最終的に目指したい構えは、カントゥのように、投手方向から見ると楽に立っているように見えるのに、横から見ると意外とスタンスが広い構えです。これは股関節の割れと捻りが出来ていなければ内転筋が緊張してしまいますが、それらが出来ていれば、大丈夫です。日本人の場合、このくらいの重心高の構えだと、もっとスタンスが狭い人が多いイメージが有りますが、それは要するに股関節を割っていないからです。股関節が股関節が割れると、どうしてもスタンスは広くなるわけです。投手方向から見ると楽に立っているように見えるのは、膝の屈曲をあまり使っていないからです。

ちなみに、この重心の高さとスタンス幅の関係において、今まで見た塚口理論実践者の動画の中でも良いと思えるのは、このオゴさんの動画です。やはり腸腰筋その場ステップをだいぶやっただけあって、その辺の感覚には良いものがると言う事でしょう。股関節が割れてハムストリングスが効いてる事は確かです。

打撃のまとめとしては、今回、重視してほしいのは以下の二点です。

1)捻った構えを「後ろ脚側」と「前脚側」の両面からもう一度突き詰める事で、もっと楽に構えられるようになる事を目指す。
2)腰を反って腸腰筋をストレッチしてから、股関節で身体を折って胸椎を後弯させる身体の使い方を極めて行く事で、もっと構えが大きく見えるようになる。

ということです。そして、さらにもう一つ付け加えるなら、

3)少々、フォームが悪くても良いので、身体を名一杯使ってフルスイングする練習を取り入れる。

です。


最後に、スローイングについてですが。。

ワインドアップで肘から挙がる形を作れているのは初めて見ました。これは非常に大きな進歩だと思います。この状態が基本となるようにしていってください。ただ、フォーム的にはグラブが背中側に引けて、最後に前脚が跳ねるようになっていますが、これらはバックホーム投げのクセでしょう。理想を言うと、ピッチャー投げのクセが着いている状態の方が好ましいと思いますが、このへんはまだ断言しかねます。強いてワンポイント挙げるとすれば、最後に後ろ脚でトンと踏む時に少し脚を高く挙げ過ぎでしょう。ここであまり脚を高く挙げると、大腿四頭筋を使う事になるので、踵で踏む感覚が出せる最小限にした方が良いです。(低すぎると踏む感覚が鈍るので)

スローイングは山下さんにとって重要な要素なので、今後とも重視していって下さい。

今回は以上です。




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